ヨーゼフ・ホフマン（Josef Hoffmann）ブランドの歴史

ヨーゼフ・ホフマン（Josef Hoffmann）は、本名をヨーゼフ・フランツ・マリア・ホフマン（Josef Franz Maria Hoffmann）といい、1870年にチェコのピルニッツで生まれました。
ブリュンの国立工芸学校で学んだのち、最初の就職先はヴュルツブルクの軍事施設建設局でした。
その後、ウィーンの美術学校（ウィーン美術アカデミー）に進学し、カール・フォン・ハーゼナウアーとオットー・ワーグナーに師事します。
ワーグナーの仕事場でオーストリアの建築家ヨゼフ・マリア・オルブリッヒと出会い、1987年には画家のグスタフ・クリムトらとともにウィーン分離派を立ち上げました。
ウィーン分離派は「セセッション」とも呼ばれる新進芸術家のグループであり、19世紀の歴史絵画や伝統芸術などの保守的なデザインから分離した、新しい造形表現ををめざした芸術家の動きです。

1899年からはウィーン芸術工芸学校で教鞭をとり、1903年、銀行家の・ヴェルンドルファーやデザイナーのコロマン・モーザーと共にウィーン工房を設立します。
ウィーン工房とは、住宅の建築をはじめ、家具、宝飾品、ドレス、日用品、本の装幀など、暮らしに関わるあらゆるデザインを手掛ける組織であり、オーストリアのノイシュティフト通りにショールームも構えていました。
1906年、ヨーゼフ・ホフマンは自ら建築デザインを手がけた初めての大作、オーストリアにあった療養施設である「プーカースドルフのサナトリウム」を建設。この内装デザインを行う上で、食堂のイスやリラクシングチェアなど、数々の家具デザインもホフマン自らが手掛けました。

その後、オーストリアで登山鉄道を運営していた鉄道会社の顧問であるアドルフ・ストックレーと知り合い、のちにホフマンの代表作となる「ストックレー邸」の設計を依頼されます。
1911年に完成したストックレー邸は、建築費用がいくらかかったのかをストックレー本人も知らないという逸話が残されているほど、当時の芸術家たちが持てる才能をすべてを発揮した、細部まで妥協のない建築に仕上げられています。

1910年代より、近代化の進むヨーロッパ諸国では機械による大量生産を見据えた産業デザインの発展を目的として、ドイツを皮切りに各国で工作連盟が発展。
ホフマンは1912年にオーストリア工芸連盟の発起人の1人となりました。
このような経過もあり、ホフマンのデザインはより現実的で実用的なものに絞られていきます。

ヨーゼフ・ホフマンは1936年にウィーン芸術工芸学校の教職を辞し、デザインの第一線を退きました。
第二次世界大戦後はヴェニスの国際ビエンナーレのオーストリア代表や、芸術審議会の委員など、それまでの経験を活かした公的な役職を多く歴任。1956年に86歳でその生涯を終えました。

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